こんなおかしな泥棒がいる
vol.7 『インテリ泥棒の巻』
「自分が夜の闇の中で息づいているという、みずみずしい新鮮な感じが好き」。
取調室でだんまりを決め込み、供述の代わりに"泥棒ポエム"をしたためた、逮捕歴15回、前科7犯の"空き巣プロ"Mのお得意ポエムだ。
一般に泥棒は稼いだ金はギャンブル、酒などに浪費するものだが、Mの場合稼ぎの殆どは高価な歴史書にかわっていたという。
「私はいつも懐中電灯を持って歩く。持っていないと不安におののくからだ」「森、家、花にしても夜の方が美しい。それは幼児のごとくやすらかで楽しかった」と叙情的な文章を記すM、マジメなのか不マジメなのか。
もうひとり、お花やお茶の先生、有閑マダムを専門としたS。社寺にやたらと詳しく、有名なお寺でターゲットのご婦人を見つけるやいなや、さりげなく近付き、仏像やら建築物についてとうとうとしゃべり出す。さらにお茶に誘い、ついには家を訪ねるまでになる。この男、なかなかの男前で声も良く、おまけにかなりオシャレである。あくまでも紳士的にさりげなくアプローチを続けるのが手口。
訪問先で奥さんが席をはずした際にお金やら調度品をちょろまかしていたという。 だまされた奥様方の中には博識な方が多い、そんな方々を騙せる程、よく勉強した泥棒だったらしい。
勉強熱心なのは感心するが他に生かし方がいくらでもあるんじゃないかな。