こんなおかしな泥棒がいる
vol.47 『大粒の涙は反省の色』
窃盗容疑で逮捕されたK。
最初は捜査員に対し、ひたすら黙りこくっていたが、それではと捜査員が奥の手「故郷を思い出させる法」を始めてみた。
「お前さん、ご両親は元気でやっているのか?連絡はとって時々は会いに行っているのか?里はどこなんだ?」
「・・・下関。」
「いいところじゃないか。のどかな所だろう。きっとお前さんのご両親、さみしがっておられるんじゃないか?それなのに、お前さんがここでしていることを知ったら、随分心配されるんじゃないか?」
「・・・父ちゃんは死んでしもうた。母ちゃんは、温かくて働き者だった。手なんかいつも赤ぎれしていて、しわだらけで。だけど俺にはいつも優しい母ちゃんだった。」
しばらくしてK、大粒の涙を流して机に伏せワーワー泣き始めてしまった。
「母ちゃん、ゴメンヨ、ゴメンヨ。盗みなんかもうしない。都会に出てきて仕事がうまくいかず、どうしょうもなくて盗みをしてしまったんだ。」
そうしてKは、この「故郷を思い出させる法」によって、犯行を次々自供しはじめた。もう2度とKは盗みをしないことでしょう。
だって、彼の涙は本物だったのですから。