ここ数年仏像や神像が盗まれる被害が急増しています。
平成18年2月には、一人で東京・奈良・広島などで約60件の仏像窃盗をした男性が逮捕されました。 自宅には18体の盗んだ仏像が発見されています。
奈良の法隆寺では盗み出す際に、国宝の木製格子6本をのこぎりで切断される他、盗まれた仏像は指や腕が折れるなど一部が破損する被害を受けています。
この犯人は個人の収集のための窃盗を繰り返していましたが、日中の拝観者を装いのこぎりで格子を切断するなどの手口は巧妙で、見つけられませんでした。
盗まれるのは重要文化財だけと思われるかもしれませんが、被害の大半は文化財の指定を受けていないものが多いのです。盗みやすく、売りさばきやすいことが原因と思われます。
無住寺が多く、ほぼ半数が盗難被害に気づくまでに3日以上、最長は約2ヶ月も経過していたこともあります。
盗品の情報は、通常警察から古美術業界に通知されます。寺社管理者がすぐに犯行に気づき、警察に仏像等の写真や寸法等詳細内容を届け出れば見つかる可能性も高くなるのに」とある古美術商は指摘しています。実際に事件の報道で盗まれた重要文化財の写真が新聞掲載されたため売りさばくのをあきらめて離れた場所に放置されていたケースもありました。
「盗品だと判らずに購入する例はあり、古くて状態が良ければ1体5万〜10万円程度で買い取ることが多い」とのこと。
海外で価値が出る物も多く、古美術として海外に販売されることも多いのです。約9割が海外とも言われています。
平成12年、京都大原の寂光院は放火にて本堂が全焼。堂内の重要文化財「木造地蔵菩薩立像」(鎌倉時代)も焼損しました。
本堂には人は住んでおらず、西側の縁付近からプラスチック製容器の燃えかすと、灯油が検出され放火と断定されました。
平成19年5月に、犯人を絞りきれず時効となりました。
平成16年度の神社・寺院の火災発生件数144件のうち、71件が放火・放火の疑いのある火災でした。
放火は、「むしゃくしゃした腹いせに」といった犯行が非常に多いのです。神社仏閣の場合木造建築のため、気づいたときには火が広がっていて、大切な建物な仏像や宝物などに被害が発生していることが多い。
泥棒や放火犯にとって、最も重要なことは「人目に付かず確実に逃げられること」。
神社仏閣は下記の通り、犯人にとって「犯行しやすい環境」ベストコンディションであるということをぜひ認識し、少しでも対策することが重要です。
- 「観光客、参拝者を装って下見」が可能。誰にでも開放されている場合が多いため、いつでも下見や犯行を行うことができる。
- 樹木に囲まれており、道路など外部からの見通しが悪い。
- 夜間暗がりがあり、隠れたり犯行を行うのに適している。
- 誰にでも開放されているため、たまたま誰かに出くわしても参拝者を装い逃げることが可能。
- 大切な仏像や宝物、賽銭などが手に届くところに置いてあり、周囲に人目がない時間帯が多い。
- 無住の寺社も多く、異常が発見されにくい。
滋賀県では平成15年以降仏像・ご神体の窃盗被害が18件74体発生。狛犬、掛け軸、仏具を入れると100点以上。大半が無住寺社で文化財指定は1件のみ。
- 裏の勝手口アルミサッシのドアをバールのようなものでこじ開けられ滋賀県の寺にて仏像2体、狛犬1体、掛け軸計8点が盗まれる。
- 滋賀県で文化財指定なしの室町〜江戸時代作と推定される大日如来像など44体盗まれる。
- 本堂入口の南京錠が金具ごと外され扉上部の電線が切断される。